5:シャコガイの養殖シャコガイを採取する元々の目的は飼育ではなく、食べることです。 沖縄地方では刺身にしたり焼いたりと、食材としての利用が多く、 外套膜が綺麗な個体が選別され、飼育用として流通しています。 というわけで、シャコガイは漁業の海産物という扱いなんですが、漁獲量は年々減少しています。 これは大量に採取されすぎたことに加え、環境の変化が影響し、個体数が減少したことによります。 そこで始まったのがシャコガイの養殖です。 沖縄地方では、主にヒメシャコガイ・シラナミガイ・ヒレシャコガイ・ヒレナシシャコガイが養殖されています。 中でもヒメシャコガイはシャコガイの中では最も高値で取引されているそうです。 養殖の手順は、最初に生殖可能なシャコガイを、精子をとるための親貝と、卵を採取するための親貝に分けて別々に飼育し、 放精・放卵を行なわせることから始まります。 こうして得られた精子と卵をそれぞれ含む海水を混ぜ合わせ、受精させて培養します。 その後、稚貝が十分な大きさになるまで施設で育て、その後で海へ放流です。 放流の手法は2つあります。 1つ目は、ドリルで岩に穴を空け、そこに稚貝を入れ込む方法です。 この方法は主に、穿孔性のあるヒメシャコガイに対して使われます。 穴を空ける岩は自然界の物であったり、人工の素材だったりしますが、 いずれにしろ養殖は太陽光がよく届く浅瀬で行なわれます。 ヒメシャコガイは成長するにつれて母岩を溶かしながら大きくなり、6〜10p程になると採取されます。 母岩を削っての採取となるので、なかなか大変でしょう。 2つ目は、海底に沈めたケージの中で稚貝を育てる方法です。 要するに普通な感じで海へ放流しているだけなんですが、ケージに入れることで魚などからの食害を防いでいます。 こっちの方法は主に、ヒメシャコガイ以外のシャコガイで行なわれます。 ちなみに、シャコガイの養殖はパラオにあるパラオ水産試験場が有名です。 ここではオオシャコガイも盛んに養殖されています。 養殖中の写真についてはこちらのページの下の方が参考になります。 海水魚・無脊椎専門店 VESSEL のHPの中にあるページ −目次−
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