あざみライン
* * *
日本の最高峰である富士山には、5合目まで登れる道路が三つあり、最も斜度があり険しいとされるのが須走口登山道の静岡県道150号線の一部区間、「ふじあざみライン」である。その平均斜度は10.5%で、最大斜度は20%を超える。ここを自転車で登るため、府中から道志みち経由で富士山に向かった。
日程 | 2009年10月23日〜24日 |
行程 | 府中→道志→山中湖→富士山須走口5合目→御殿場 |
走行距離 | 120km |
走り屋たち
府中を出発したのは23日の21時だった。
鎌倉街道と多摩ニュータウン通りを通って府中から橋本までは移動し、道志みち(国道413号線)で山中湖方面を目指す。
夜の道志みちは電灯が少なく真っ暗で、下るときに道路がどういう風に曲がっているのか見えづらくて大変だった。
また、沿道の茂みにはシカがうろうろしており、ライトを向けるとシカの目が光って存在を確認することができる。
道路を横断している個体もいたので注意が必要だった。
そして、道志みちと言えば「走り屋(違法競走型暴走族)」である。
暗くて狭い峠道を凄まじい音を出しながらスポーツカーが走りぬけてゆくのだが、ある程度の集団で走っているので抜かされるときはかなりヒヤヒヤする。
この場所は昼に走ってもスポーツカーが多く、カーブ手前でエンジン音が聞こえたら要注意。
途中、道の駅「どうし」で休憩してから山伏トンネルで山伏峠(1100m)を超え、山中湖まで下った。
山中湖からは国道138号線に入り、標高1104mの篭坂峠を越える。
1000m級の峠が続くが、山中湖の標高が990mほどなのでそれほど大変ではない。
ふじあざみライン

篭坂峠を超えて標高約810mの地点まで坂を下ると、須走口登山道(ふじあざみライン)の入口に到着する。
ここから標高2000mの富士山須走口5合目まで平均斜度10.5%の坂道が続く。
なお、この時点での気温は7℃であり、1190mの標高差から概算すると、5号目の気温は0℃近いことが予想された。
ふじあざみラインを登り始めると、最初は3kmほど続く直線道路を通ることになる。
まだ富士山の裾野なので道路を曲げなくても斜度を10%以下に抑えられているのだが、平均斜度は9%を超えており、いつまでも登り続ける直線道路は精神的に辛い。
直線区間が終わるとヘアピンカーブが始まる。
ここから2.5kmくらいは平均斜度が7%に下がり、多少は楽ができる。
ただ、全体の平均斜度が10.5%ということは、楽した分だけ終盤がキツいということである。
ヘアピンカーブが突然途切れ、直線的なカーブになる場所を超えると、今度は平均斜度が14%の坂道が2km続く。
おそらく最大斜度の20%はこの区間にあるのだろう。
このときはかなり遅いペースで登っていた。
途中で左の膝を痛め、自転車を降りた場面もあった。
この区間を過ぎると急な坂は減り、5号目までは斜度9%程度の坂になる。

(5号目から下る前に撮影した最後のカーブ。)
5号目に到着したのは5時で、雲海と夜景が綺麗だったが、どうにも眠かったので公衆トイレの横で仮眠した。
今思うと、0℃近い環境下で寝ることができたのが信じられない。
 
(やはり、富士山は遠くから見た方が美しい。)
その後、茶屋が開店したので、ストーブのある店内に避難した。
茶屋ではうどんを食べ、体が温まるまで中にいた。
防寒着をあまり持ってこなかったのはかなりの失敗だったと思われる。

外に出る余裕ができたので、5号目を少しうろつく。
紅葉はかなり進んでおり、なかなかきれいだった。
 
(右の写真は下っている途中に撮影した。)
いつまでも5号目にいても寒いので、坂を下り始める。
激しいヘアピンに加え斜度が大きいので、何度も対向車線にはみ出そうになる。
また、道路には穴があるので踏まないように注意した。
裾野まで下るとヘアピンカーブがなくなるので速度が上がり、何もしなくても70km/hを超える状態。
自転車がガタガタ震え始めたので、トップチューブを膝で押さえつつできるだけ前傾姿勢になって空気抵抗を減らした結果、最終的には時速82km/hまで加速した。

(仕様なのか、60km/hを上回ると小数点が表示されなくなる。)
ふじあざみラインを下りきったらそのまま御殿場駅まで下り、輪行して帰った。
本当のことを言うと、富士山の三つの登山道を1日で全て回る予定だったのだが、体力の消耗が激しかったので今回はここまでにした。
いつかリベンジしたいと思う。
|